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■森羅万象を含めた宇宙を貫く法則は、大きく大別しますと、ひとつには物
理学上の法則、二つには精神科学の法則があり、このふたつの法則が私た
ちの眼前で日々繰り広げられているのが、この現象世界であります。
この二つの法則をさらに深く追求していきますと、究極的には、精神界のこと
も含め、この現象世界は陰と陽の二象ですべて成り立っており、この二象が
一体となって円満な活動が行われることで、この宇宙は進化発展していると
考えられます。
■ これらのことを物理学上の法則の本質をなしている物質で、もっと分かりや
すく説明しますと、たとえば、物質を細かく細かく切り刻んでいきますと、最初
は分子になり、さらに進むと原子になり、最終的には、素粒子にまで行き当
たり、この素粒子が最新の量子力学では物質の最小単位であると言われ
ています。
この素粒子の内容を調べますと、原子核(陽子と中性子)と陰電子で構成
されており、結局のところ最小の素粒子でさえ、陰と陽の一体となった深甚
微妙(しんじんびみょう)な働きによって、成り立っていることが理解できま
す。
私たちの肉体も含めすべての物質は、この素粒子が複雑に組成されて出
来上がっていることと、同時に、この陰と陽との活動によって、いろいろな物理
学上の法則が顕われていると認識できます。
■ これら陰と陽の不可思議で巧妙な働きは、何も物質に限られたもの
ではなく、精神科学においても、当てはまります。
たとえば人間を例にとりますと、私たちが日常活動を行うことができますの
は、精神が肉体に宿ることによって、お互いが同一の人間であると認識でき
る環境に置かれるからであって、肉体のない精神だけでは、人間生活は成り
立ちません。
このように精神を陰とすれば、肉体は陽となって、不即不離の関係になって
おり、いずれが欠けましても生命活動が維持できない仕組みになっていま
す。
さらに人間の心の奥深くに隠れて他人に容易にうかがいしれない本質につい
ても、形而上学的に考察しますと、目に見えない内なる精神気力(気)
と、外から認識できる素質や才能(質)が複雑に絡み合って組成されてお
り、この精神気力を陰と考えれば、素質や才能は陽に属し、いずれが欠け
ても、精神活動は停止してしまいます。
■ 四柱推命学では、この陰と陽との関係を「体」と「用」との関係で説明して
います。
◇ 「用、陽にあり、体、陰にあり。而して動静は端なく陰陽は初めなし。
先後を分かつべからず」
◇ 「陰陽、測られざる、これ神という。すでにその体あれば即ちその用あり。
用を語れば体にあらず、体を論ずれば用にあらず。用には興と廃とある
も、体には生も滅もなし。すなわち体と用とは、不離不即なり」
◇ 「因果とは風と波の如く、体用とは水と波の如し」
◇ 「天地、万物、すべてこれニ態あり、陰陽という」
■ したがって、ここでの人間分析も、本来なら「体」と「用」とが不離不
即の関係になってとらえどころのない人間の本質を、「体」と「用」との実
態をそれぞれに関わる因子のエネルギーを形而上学的に精密に計測
して数値化し、その結果を精神理学に基づき総合分析しようとするも
のであります。
たとえば、ある人がスーパーで万引きしたような場合、この万引きしようとする
気持ちは、果た して日干から生じているのでしょうか、あるいは、格である用
神から生じているのでしょうか。
(1) 「日干」は、精神気力をつかさどり、気力の有無を見るところであり、無
色透明で目に見えない「性」をつかさどっています。
(2) 「用神」は、才能や能力や特質をつかさどり、だれからもその存在が認識
できるものであり、情から発するものであります。
情は、生まれながらに備わっている本能や煩悩、あるいは欲望といわれる
ものであり、才能や素質は、そういう情が発端となって生じるとされます。
(3) 人間には、もう一つ大切なものとして、「良心」というものが生まれながら
に備わっていて、常に自分を正しく導こうとする働きがあります。
この良心の心の働きというのは、「体」にも「用」にも属さず、人間共通の意
識として、天から植え付けられているもので、「体」の上位に位置して、
「体」と協力し合いながら、情(煩悩)の働きをする「用」を抑制していると考
えられます。
■ この三つの関係を上記の例でいえば、日干が弱く、用神が強過ぎる
ため、日干が良心のささやき (万引きは良くない) を聞いても、精神
気力が弱すぎて、用神の働き (万引きしようとする気持ち) を抑制で
きなかった結果ではないかと考えられます。
したがって、良心的な行動を取るためには、やはり日干の強さもある程
度必要であるように思います。
2 体と用のエネルギーの比率は、男性と女性で、本来、どのような配分が理想的なのでしょうか。 |
■ 女性は、原始の姿として、子供もを産み社会のために役立つよう育てる
任務を背負っていますが、そのための過程には、子どもに乳をやり、社会から
迫害を受けないようしっかりと守護したい気持ちも強いものがあります。
これらの気持ちは用神の本能的な部分から生じるものでありますので、女性
は本来、「日干」よりも「用神」のほうが強いのを良いとします。
確かに男性から見ますと、理性的すぎる女性よりも、やや感情の豊かな女
性のほうに、女性らしさを感じるのもむべなるかです。
昔から、女性は子宮でモノを考えると言われていますが、このあたりのことを指
しているのではないでしょうか。
■ 男性は、女性と反対で、感情よりも理性を優先することが、原始の姿で
ありますので、「用神」よりも「日干」のほうが強いのを良しとします。
■ このことから、女性の日干はあまり強くなくても良いとされており、日干が強
くなりますと、男性に対する反抗の気風が強まり、幸福な人生を歩めないケ
ースが多くなりやすいです。
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